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六代目山口組機関紙「山口組新報」レビュー…逆風の中から伝わってくる「ヤクザの矜持とユーモア」  

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山口組機関紙「山口組新報」

 3月5日、神戸市灘区にある六代目山口組総本部で定例会が開催された。兵庫県警による総本部の使用禁止請求が迫っていると囁かれるなか、集まる直参組長らの表情からは、それを危惧する様子が微塵も見えなかったといわれている。
 
「『すべては覚悟のうち』との表れではないでしょうか。『なるようになる。その中で道を切り拓いていくだけだ』と親分衆らは思っているのかもしれません」(報道関係者) 
 
 開催された定例会では、各直参組長らに第15号となる山口組機関紙「山口組新報」が配布された。
 
 現在の六代目山口組内部の様子、ヤクザたちの日常や本音などが垣間見られる同機関紙。巻頭を飾ったのは、六代目山口組若頭補佐である三代目一会・野村孝会長の言葉だった。そこには、時候の挨拶を述べた後に、1月25日の誕生日に司忍組長が喜寿を迎えたことを心から喜んでいると記されている。
 
 そして、2003年に六代目山口組二代目小西一家と住吉会系組織との間に起きた「埼玉抗争」で、住吉会系幹部を射殺した事件の首謀者として逮捕され、無期懲役の判決を受け下獄した、二代目小西一家・落合勇治総長の無念と、その安否を気遣う想いが綴られている。
 
 この事件では、落合総長は一貫して冤罪であることを訴え続け、最高裁まで争い続けた。控訴審では落合総長の元配下の組員幹部が、司法取引により虚偽の調書を作成したことを証言し、落合総長は事件に無関係であったことを主張したため、無罪放免となるのではないかと思われていた。だが、高裁が出した判決は、一審の無期懲役を支持するもので、最高裁でもそれは変わらなかった。それだけに巻頭言を綴った野村会長の無念さは、今でも晴らされていないのだろう。

替え歌を披露して盛り上げる幹部組長も

 2面には「六代目親分御誕生日祝宴」と題し、1月25日に行われた、司組長の誕生祝賀会および新年会の様子がレポートされている。恒例となったカラオケ大会では去年度より新たに採点機能を取り入れた機器が用いられたことで、今回も盛大に盛り上がった様子がレポートからも窺い知れた。

 特筆すべきは、司組長みずからマイクを握り美声を披露したあとに、幹部らに「俺の点数も公平にしろよ」と伝えたというところだろう。

 筆者が現役時代にもこうしたカラオケ大会は行われており、ある直参組長から、司組長が歌う時は専用のマイクを使用されるのだ、と聞かされたことがあった。

 六代目山口組組員らにとって特別な存在である司組長が、自ら「公平にしろよ」と冗談を口にしたというのだから、盛り上がりも最高潮に達したことが想像できる。

 また、次々に披露される直参組長らの美声の中には、六代目幹部である秋良連合会・秋良東力会長のものもあったという。秋良会長は前日に曲名を変更させ、司組長に喜んでもらおうとする趣旨から、「フーテンの寅さん」を自らの替え歌で歌い上げ、カラオケ大会が笑いの渦に包まれたことが記載されていた。

 全8ページの3面には平成30年度の事始め式典、4面には年末の餅つき大会レポートと続き、5面の上段には、1月24日に行われた、親戚団体である稲川会との親睦食事会の模様を六代目山口組若頭補佐である二代目竹中組・安東美樹組長が寄稿。下段には、初代山口組・山口春吉組長、四代目山口組・竹中正久組長の祥月命日にあたって、六代目山口組事務局長である二代目若林組・篠原重則組長が親分たちへの想いを寄せている。

「スッピンの 彼女に聞いた ◯◯◯」 

 筆者がまだ現役だった頃に復刊した「山口組新報」は、今回で15号目となるのだが、すべての新報に目を通させてもらっている。そうした中で感じたことは、今号ではこれまでにないほどの直参組長自らが筆を握り、組織への思いを寄せていることだ。
 
 それによって普段、雲の上の存在である直参組長らの声を末端組員にまで伝えることができ、組長の言葉を目にした若い組員らは、当局の締め付けにより逆風が吹く任侠界の中でも士気を高め、大きな励みを得ているのではないか。機関紙を発行する側の目的も、そこに大きな比重が置かれ出しているように思える。
 
 続く6面には、六代目山口組二代目章友会・新井錠士会長と六代目山口組三代目岸本組・野本信孝組長が、それぞれ先代を偲ぶ寄稿を寄せている。そして、7面には、メディアでも取り上げられたことのある“名物企画”の六代目山口組組員らが詠んだ短歌や川柳も掲載されている。
 
 その中で、思わずクスリとさせられた川柳をひとつ。
 
「スッピンの 彼女に聞いた 君の名は」 
 
 映画『君の名は。』にかけて詠まれものだろうが、世間が思うヤクザのイメージとは異なる、ユーモアセンスを感じさせる一句だろう。
 
 最終ページとなる8面には、大晦日から総本部に集まり新年を迎えた二次団体最高幹部らが、その際に感じた様子を興奮混じりに文章にしている。それもそのはずである。この年またぎの集会では、普段、声をかけてもらうことなどありえない雲の上のそのまた上の人物である司組長に直接新年の挨拶ができるのだ。六代目山口組組員にとって、これほどの誉れがないということが、それらの文章からは伝わってくる。
 
「山口組新報第」の最新号はいつにも増して、幹部や組員たちの生の声が文字にして伝えられており、現在の六代目山口組内の空気を知る上で読み応えのあるものとなっていた。
(文=沖田臥竜/作家・元山口組二次団体幹部)

●沖田臥竜(おきた・がりょう)
元山口組二次団体最高幹部。2014年、所属していた組織の組長の引退に合わせて、ヤクザ社会から足を洗う。以来、物書きとして活動を始め、『山口組分裂「六神抗」』365日の全内幕』(宝島社)などに寄稿。著書に(共にサイゾー)。最新刊は(同)。

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