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イタリアより労働時間の短い日本で、今の働き方改革は無意味だ…さらに生産性低下も

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「Gettyimages」より

なぜ裁量労働制が登場したのだろうか

 
 裁量労働制や高度プロフェッショナル制が今、なぜ取り上げられるのか。そもそも論を紐解くと、日本の低い生産性の問題に行き着く。こんなに洗練された先進国なのに(嫌味ではなく)、世界的経済先導諸国であるG7のなかで最低である。OECD諸国のなかでは、19~21位という順位に定着している。

 日本人は勤勉を旨として、とにかく一生懸命働く国民性を持つとされている。単純化していえば、勤勉に働くのに生産性が低いのは、働き方が悪いからだ、という主張に結びついたというわけだ。ちょうど長時間残業による過労死が問題になっている矢先でもある。「働き方改革」が声高に叫ばれ、その一環として裁量労働制などが提起されるのには、低生産性問題という事情がある。

 無駄に長い時間働いているから低生産性、だから無駄な時間を削減しよう、その工夫のひとつとして裁量労働制で柔軟な働きをすれば無駄な労働時間が減るだろうと考えるのは、一面正しい。しかし出来の悪い大学生の答案に似て、ちょっと考察が足りない。

日本の生産性が低いのは確か


 日本生産性本部が2017年の年末に発表した生産性の国際比較(OECD統計より作成。16年実績。購買力平価ベース)を確認しておこう。図に見る通り、日本の労働生産性は1人時間当たり46ドルで、首位のアイルランドやルクセンブルクの半分以下である。アメリカは約70ドルだから1.5倍の生産性である。債務危機に陥り、経済的には落第生とみなされているイタリアの54.1ドル、スペインの52.4ドルにも及ばないとは意外な結果だが、統計的には明白な事実である。何度もいうように、残念なことだが、日本の労働生産性は先進国中最下位クラスである。

 裁量労働制や働き方改革による働き過ぎの是正が必要だという話は一見、正鵠を射ているように見える。しかし労働生産性の視点からは、まったくの誤解である。OECDの実労働時間の統計(15年実績)を見てみよう。算定基準が違うので国際比較には適さないとコメントされているが、これをあえて比較したものが表である。独仏2国は例外的に少ない労働時間であるものの、G7内で日本が特に長時間労働とはいえない。むしろ、15年実績で比較すると、7カ国中3位、アメリカの1790時間やイタリアの1725時間よりも短い労働時間で、1719時間である。2000年以降、一貫して日本はアメリカ、イタリアよりも短い労働時間なのである。



 労働生産性が低い理由は、長時間労働ではない。働き方改革はもっと働く時間にゆとりをつくるということではない。政治家も含めて、ここのところを誤解しているといわざるを得ない。
OECD諸国の労働生産性ランキング(資料:日本生産性本部『労働生産性の国際比較2017年版』)

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