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残業代なし長時間労働合法化の「高度プロフェッショナル制度」、全職種対象になる可能性も

加藤勝信厚生労働大臣(写真:日刊現代/アフロ)
 本連載前回記事では、本格的に論戦が始まる「働き方改革」関連法案のなかの「高度プロフェッショナル制度」の問題についてお伝えしました。


「高度プロフェッショナル制度」が導入されたとして、法律に違反する企業を取り締まるのは厚生労働省労働基準局の労働基準監督官になります。その監督官の数は、現在3241人です。すごい大人数のように思えますが、一方で監督指導対象となる事業所は全国に約428万件、そこで働く労働者は約5209万人です。つまり、労働基準監督官は1人あたり1320の事業所を監督し、1万6000人の働く人の労働条件を守らなくてはいけないということです。

 ただ、労働基準監督官は「高度プロフェッショナル制度」の違反だけでなく、あらゆる労働問題に対応しなくてはなりません。その数が、前述したように1人あたり1万6000人です。これは、もはや物理的に不可能といわざるを得ません。

 ちなみに、全国の約428万件のうち、定期的に監督を実施できているのは13万件くらい。せいぜい、これくらいしか見られないのが実情なのです。また、厚生労働省労働基準局が発表した、働く側からの賃金不払いなどの告発は2015年で2万件ほどが処理されています。ただ、送検までされたケースはわずか214件でした。

 そして、このような極端に人手が足りない状況のなかで、仮に「高度プロフェッショナル制度」の対象者がひどい労働条件で働かされていても、対応が後回しになる可能性が高いのです。

 なぜなら、労働基準監督署は、時間外労働や長時間労働、残業代を支払わないなどの違法行為を取り締まることを主な仕事にしていますが、「高度プロフェッショナル制度」の対象者は、すでに時間外労働や長時間労働、残業代を支払わないということが合法化されているからです。

「高度プロフェッショナル制度」の対象者からは、労働時間などの規制が外されます。もちろん、4週間で4日以上の休日はなくてはいけないのですが、基本的にそれ以外の3週間と3日は24時間働かせてもいいのです。ただし、過労死しないように有給休暇の付与や健康診断の実施など、いくつかの必要事項は設けられていますが、基本的にはエンドレスで働かせることが可能となっています。

 そのため、一度「高度プロフェッショナル制度」で契約すると、結果的にトラブルが起きて労働基準監督署に駆け込んでも、「それを承知で契約したあなたが悪い」ということになってしまう可能性があるのです。

専門職から「誰でもOK」になった「派遣法」


 現在は「高度な専門職」が対象の「高度プロフェッショナル制度」ですが、将来的には、どんな人でも対象になる可能性があります。なぜなら、法案には対象となる職種については書き込まれておらず、国会で議論しなくても厚生労働省の省令でいくらでも変えられるようになっているからです。

 実は過去にも、最初は「一部の専門家」が対象だったはずが、いつの間にか誰もが対象になってしまった法律があります。それは「労働者派遣法」です。


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