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『共謀』が明らかにする「ロシア疑惑」の闇

米国を揺るがす「ロシア疑惑」の深い闇…選挙結果を変えた可能性は限りなく高い

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『共謀 トランプとロシアをつなぐ黒い人脈とカネ』(集英社/ルーク・ハーディング著、高取芳彦、米津篤八、井上大剛訳)
 中国製品への制裁関税適用、シリア攻撃など、通商・軍事面の大きな決断が目立つアメリカのドナルド・トランプ大統領。しかし、彼の「大統領としての資質」を問う声は、いまだアメリカ国内に根強く残っている。


 その源は、いうまでもなく「ロシア疑惑」である。これは、ロシアがサイバー攻撃などによって2016年のアメリカ大統領選挙に干渉し、「トランプ陣営と結託していたのではないか」とされる問題だ。追及が進む一方でいまだ決定的な証拠は見つかっていないが、さまざまな関係者の証言から、少しずつ全貌が明らかになってきている感もある。

 その最たるものが、『』(集英社/ルーク・ハーディング著、高取芳彦、米津篤八、井上大剛訳)である。イギリスのジャーナリストであるルーク・ハーディング氏は、ロシア側も含む膨大な数の関係者への取材によって、「ロシア疑惑」というあまりにも大きな「絵」の空白を埋めていく。

 ロシア疑惑にまつわる基本的な疑問を、本書をお供に紐解いていく本連載は今回が最終回。最後のテーマは、「ロシアの介入は選挙結果を変えたのか」である。

フェイクニュースでヒラリーを攻撃したロシア


「ギリギリの選挙戦でしたし、得票数でいえばヒラリー氏のほうが多かった。各州でも勝敗は拮抗していましたから、ロシアの干渉は選挙結果に影響を与えた可能性が高いと考えています」

 アメリカ現代政治に詳しい上智大学総合グローバル学部教授の前嶋和弘氏は、こう語る。すでに知られている通り、ドナルド・トランプ氏とヒラリー・クリントン氏の一騎打ちとなった2016年の米大統領選は、史上稀に見る大接戦だった。得票数はヒラリー氏のほうが300万票ほど多く、トランプ氏は「試合に勝って、勝負に負けた」かたちといえるだろう。 では、ヒラリー氏にとっては何が致命傷となったのか。前嶋氏は「ディスインフォメーションが効いた」としている。

 明らかになっているところでは、ロシアはフェイスブックなどの偽アカウントを多数取得し、アメリカ人を装ってヒラリー氏の評判を貶めるような投稿を繰り返していた。そのなかには、事実とは異なるフェイクニュースも含まれていたとされる。

 これによって、選挙直前まで世論調査で優勢だったヒラリー氏のイメージが落ち、トランプ氏の逆転勝利を演出した。そう考えると、民主党全国委員会へのサイバー攻撃を含め、ロシアのインターネット上の介入工作が選挙結果を変えた可能性は高い。

 ただ、こうしたロシアの干渉にトランプ氏本人が関与していたのか、あるいはどのようなかたちでどの程度かかわっていたかというのは、依然謎のままだ。現在、「ロシア疑惑」についてはロバート・モラー特別検察官による捜査が進められているが、この点が明らかになるかどうかが大きな焦点となる。

「ヒラリー敗戦」という目的を果たしたロシア


 前嶋氏は、ロシア側の狙いは「トランプを勝たせることよりも、ロシアに厳しく長年の敵であったヒラリーを負けさせることにあった」としている。その意味では、ロシアは目的を果たしたといえるだろう。

『共謀 トランプとロシアをつなぐ黒い人脈とカネ』は、アメリカの政治プロセスへのロシアの介入という前代未聞の問題について、その発端から発覚に至るまでの道筋を丁寧な取材によって描こうと試みている。

 無論、まだ明らかになっていない部分は多いが、本書で取り上げられているさまざまな証言や世間で取り沙汰されていない事実は、国際政治に巣食うあまりに巨大な闇の形を、ぼんやりとではあるが確かに描き出している。
(文=編集部)

※本記事はPR記事です。

機密文書のリークが発端となった「ロシア疑惑」は、トランプ政権の閣僚、スタッフが次々と辞任、起訴に追い込まれ、大統領本人の聴取をめぐってFBIとトランプ側の攻防が繰り広げられている。そもそも、トランプとロシアが結びつくきっかけは何だったのか、誰が関わっているのか。細かい取材の積み重ねで、複雑なルートが少しずつ明らかになっていく。


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