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牧野知弘「ニッポンの不動産の難点」

日本の不動産を買い漁った外国勢が、一斉に日本人に売り浴びせて逃げ始める兆候


 このように3%で買って2.5%で売って儲けるようなやり方をアービトラージ(鞘取り)取引という。マネーゲームをやる人たちにとっては、ごく当たり前の考え方だ。

 結局、彼らはこうした数字上でのゲームをやっているだけだ。チキンレースと呼ばれるのも、まだまだ今後もキャップレートは下がる(価格は上がる)かどうか、あたかも麻雀の卓を囲んでいるような光景なのだ。

 金融資本主義というのはこんなものである。所詮、日本の将来やら何やらをまともに分析している姿など、筆者はこれまでほとんどお目にかかったことがない。むしろ、自分たちの投資を成功裏に終わらせるために、彼らはさまざまなフェイクニュースを拵えたりさえする。

 そして、最後に誰かが「ババ」をつかんでこのマネーゲームは一旦「お開き」ということになる。「一旦」と言ったのは、ゲームはまたどこかで再開されるからだ。上がり切れば売り、下がり切れば買う、この単純な投資ゲームに付き合わされる真面目なビルオーナーやビル管理など実業を司る側にとっては、ある意味迷惑この上ない世界なのだ。

東京五輪は「ニッポンいいね」の最大のスタンプ


 では、これからの日本で彼らの動きはどのような方向に進んでいくのだろうか。

 答えは残念ながら「売り」の方向へ行くのではないかとみている。もともと、インバウンドマネーは東京五輪開催が決定した2013年頃から積極的に日本に上陸するようになった。

 政府やメディアはこれを、海外投資家が五輪開催によって日本を投資先として見直す動きになったと胸を張ったが、実は別の2つの要因が大きかったのだ。

 ひとつは、リーマンショックで一度下落した日本の不動産は、投資利回りが上がり(つまり価格が安くなり)、台湾や香港、上海などの不動産よりも相対的に「安い」という判断が生じたことだ。

 2つには、それでも東日本大震災の影響からしばらく東京での不動産取得を控えていたのが、想像していた以上に東京に被害はなく、しかも原発事故に伴う放射線被害も、これまでのところ思いのほか現出していないことだ。

 さて、ここ数年で東京をはじめとした不動産を買い漁ったインバウンドマネーも、そろそろ「収穫」の時期を迎えている。東京五輪という宴は彼らにとっては格好の「売り」のタイミングでもあるのだ。

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