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東芝、「ドル箱」メモリ事業売却→巨額売却益をすべてハゲタカファンドにむしり取られる


 海外ヘッジファンドや物言う株主は、巨額の株主還元を求めた。増資を取りまとめた綱川智社長は「東芝メモリ売却で危機を切り抜けた後、株主に(利益を)還元する」と公約した。

 だが、2月に就任が決まった元三井住友銀行副頭取の車谷暢昭・会長兼最高経営責任者(CEO)は、「M&A(合併・買収)が重要」と発言。これにファンド側が態度を硬化させ、「株主総会で車谷CEOの取締役選任議案に反対票を投じる」と経営陣に圧力をかけた。

 香港を拠点とする投資ファンド、アーガイル・ストリート・マネジメントは5月28日付けで車谷氏宛てに書簡を送り、6月27日の株主総会前に「1兆1000億円の自己株式の買い戻しの方針を示すよう」求めた。同時に、「将来のM&Aの機会に備えて現金を保有することを歓迎しない」と釘を刺した。

 東芝は6月13日の午前11時(立ち会い時間中に)、7000億円の自社株買いを発表した。一度は債務超過に陥った会社が、7000億円の自社株買いを行った例はない。

 株主総会で車谷氏の取締役選任が否決されることを恐れた東芝は、物言う株主の圧力に屈し、自社株買いを実施することにしたわけだ。

 さらに今年11月、今後5年間の中期経営計画「東芝Nextプラン」を公表する。

「自社株買いは早期に実施すべき。中期経営計画とは切り離してほしい」

 アーガイル社のキン・チャン最高投資責任者は7月下旬、車谷氏にこのような内容の書簡を送った。7000億円の自社株買いを早く実施するようにせかしたわけだ。

 東芝の8月28日の株価の終値は330円。同社の株価は、15年の不正会計発覚前は500円を超えており、まだ多くの株主は損失を抱えたままだ。17年12月、物言う株主への第三者割当増資の払い込み価格は262.8円。自社株買いは彼等のために行われるというのが、兜町の専門家の見方だ。

 東芝は東芝メモリ売却で得た売却益の大半の7000億円を、ハゲタカファンドにむしり取られることになる。

4年ぶりに復配を検討


 平田政善・執行役専務兼最高財務責任者(CFO)が、9月12日付日本経済新聞の取材に「2019年3月期に4年ぶりの復配を検討している」と語った。

「自社株買いとは別に復配を考えている。15年3月期に年4円配を実施して以来、無配が続いているが、長期保有の株主にも報いるためだ」とした。

 本当に長期保有の株主にも報いるための復配検討なのか、投資ファンドを意識しての復配方針なのかは、はっきりしない。東芝メモリの売却によって一過性の利益が出ただけで、稼ぐ力は戻っていない。誰のための復配検討なのか。経営陣は、どちらを向いて経営のカジ取りをする気なのか。

「ここは、企業体力をつけることが先決なのではないか」と指摘するアナリストが多い。
(文=編集部)

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