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鈴木領一(すずりょう)のビジネスの超ヒント!

「ハズキルーペ大好き」で話題沸騰のCMがセクハラ問題にならない絶妙な仕掛け


 さらに今CMでは、絶妙な仕掛けがあることにお気づきだろうか。CM冒頭で、武井ママが、「話題のハズキルーペを、お店で売ります」と宣言するシーンだ。もしこの一言がなければ、件の椅子シーンは、常連客がやらせたように見えてしまい、明らかなセクハラと判断されてしまったかもしれない。武井ママも率先して、ハズキルーペを売るためにプレゼンしているという“初期設定”にしたところが、実にうまい演出なのだ。

 また、もっとも注目すべきポイントは、前CMと今CMで同じセリフが使われているところだ。CM最後に登場する、「ハズキルーペ大好き」というセリフだ。

 前CMでは、菊川怜が、彼女のこれまでのキャラクターからは想像できないほどのオーバーアクションで、両手でハート型をつくり、ウインクしながら「ハズキルーペ大好き!」と叫ぶ。今CMでは、舘ひろしが「ハズキルーペ、好きだな」と渋い声で言うと、武井ママが、ウインクしながら「ハズキルーペ大好き」と応える。舞台が高級クラブだけに、この2人のセリフの掛け合いには、言外の意味が含まれた、絶妙なサブリミナルメッセージとなっている。だが、重要なのはここではない。

「ハズキルーペ大好き」というシーンでは、右側にハズキルーペの機能やスペック、価格がエンドロールのように流れている。

 つまり、右側でハズキルーペの性能を論理的にアピールしながら、左側では「あなたも、きっとハズキルーペ好きになるから!」と、感覚的に訴えているのだ。論理性と感性の両面を持つ人間の脳の特性を考慮した、実に計算された画面構成である。

意外な制作者

 一体、このCMはどこが制作したのかと調べたら、意外な事実が判明した。このCMのプロデュースと監督を務めているのは、ハズキルーペの販売元であるHazuki Company会長でプリヴェ企業再生グループ代表取締役の松村謙三氏自身なのだ。

 松村氏のインタビュー記事(ZAKZAK  )によれば、当初はCM制作をプロのクリエーターに任せていたそうだが、提案通りに仕事をしないために激怒し、「今日から俺がやる」「すべてのリスクは俺が負う」と自らスタッフを集め、衣装選びから出演者のセリフ、演出までをすべて行うようになったという。その結果が、月に数十万個売り続けるハズキルーペの大ヒットにつながった。

 同社は宣伝広告費に100億円以上かけているというが、ハズキルーペの成功は金額ではなく、松村氏の肌感覚にあるといえる。長年ビジネスで培ってきた感覚と、松村氏の個人的な体験から、あの感性に訴えかける独特のCMが生まれたのだろう。

 この大胆なCMが、どこまでいくのか。筆者はマーケティングの視点で観察していこうと思う。
(文=鈴木領一/ビジネス・コーチ、ビジネス・プロデューサー)

●鈴木領一(すずき りょういち)
思考力研究所所長() 
ビジネスプロデューサー&コーチ。企業のマーケティングやプロモーションのアドバイス、パーソナルコーチングから、内閣府のプロジェクトや東京大学のメンタルヘルスプロジェクトまで幅広く活躍中。ビジネス作家として、ビジネス雑誌「プレジデント」誌など、ビジネスメディアへの記事寄稿多数。
また(サイゾー刊)は、氏のコーチングメソッドを初公開した書籍で、ビジネスパーソンから経営者まで、幅広い層に支持されロングセラーとなっている。(サイゾー刊)では、従来の自己啓発ノウハウを全否定する、まったく新しい考えを提唱し、大きな話題となっている。さらに、出版プロデュースの活動も行い、代表作には小保方晴子氏の『あの日』(講談社刊)がある。

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