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レガシーシステムを捨てない企業は滅びる…「2025年の崖」問題、年12兆円の経済損失

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 IT業界では、この数値の可能性が議論されることになると思われるが、多くの人にとっては「どうでもいい」ことに違いない。兆円、億円の単位で語られるGDPや産業界のIT予算はもともと縁遠い話だし、IT人材の分布も直接のかかわりはない。せいぜい「IT技術者の平均年収1200万円超」にちょっと驚いて、ひそかに「へ~」とつぶやくのが一般の人々の共通の感覚に違いない。
 
(1)の「産業界のIT予算は2017年比1.5倍」というのは、決して不可能な目標ではない。現在の事業を運営するラン・ザ・ビジネス(RTB)の費用と、事業の価値を高めていくバリューアップ(VU)の費用をどうバランスさせるか、RTBの費用を固定してDX(VU)の費用を増やしていけば、IT予算の総額は膨らんでいく。

 予算を増やさなくても、ここでいう「IT予算」は企業内情報システム部門の予算のことなので、現業部門がビジネスの生産性を高めるために投入するIT予算を参入すれば、「RTB:VU」の比は現在の8:2から6:4にも5:5にも変わるに違いない。

 また、「2025年の崖」がリアルな危機感となって顕在化すれば、産業界は受託系IT企業に頼らず、オワコン・プログラマーを再雇用せざるを得ない。さらに現在は「ユーザー」に分類されている企業の多くがITサービス事業のウエイトを高め、「デジタル企業」が当たり前になっていく。「IT人材分布はユーザー5:ベンダー5」とは、10年後、今より多くの人が「IT技術者」になっている可能性が高いということでもある。

DXを体感したければベンチャーか外資系

 
 最大の難関は(4)の「IT人材の平均年収は1200万円超」だ。筆者の周辺は「IT産業の多重下請け構造が解消しない限り難しい」と口をそろえる。だが、それは現状が「2025年の崖」の先も続いていることを前提としていて、前述した「デジタル企業」の登場を想定していない。

「デジタル企業」については稿を改めて詳述するが、現状でいえばネットサービス企業がそれに当たる。上場している「受託系」(システム開発・運用)211社の2017年度の就業者一人当たり年間売上高は1664万円、対して「ネットサービス系」187社は4125万円だ(筆者調べ)。受託系よりネットサービス系は生産性が2.5倍以上高い。ITをフルに活用するので従業員は少なくていい。

 見方を変えると、DXに出遅れた企業はDX社会からふるい落とされる。具体的にどのような企業かというと、「事業部長―部長―次長―課長―係長―主任」というようなヒエラルキーがカッチリしていて、何ごとにつけ上司の判断が必要な企業だ。そのような企業は安定しているようだが、変化についていけない。日の丸のハチマキを締めて走っているような20世紀型企業は、間違いなく「2025年の崖」を転げ落ちる。経営陣がサラリーマン化していて、任期の間を無難に過ごすことを優先し、将来ビジョンを示すことに興味がないためだ。

 しかもそこに勤めている人は現状に安穏としていて、転げ落ちる危機感がない。そうして気がつけば、21世紀型ベンチャーが世の中を動かしているというわけだ。DXに取り残されるかDXを追いかけるか、DXの先端を走るか。DXの実態を体感し、年収1200万円超を追求したければ、ベンチャーか外資系への転職をお勧めする。
(文=佃均/フリーライター)

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