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【高千穂6人遺体】一家惨殺疑惑の次男、家族を不憫に思い「愛他的殺人」の可能性

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高千穂町の公式サイトより

 11月26日、宮崎県高千穂町の民家で、この家に住む飯干保生さんの家族ら6人の遺体が見つかった。亡くなったのは、飯干さんとその妻、飯干さんの次男の妻と息子と娘、そして次男の知人の松岡史晃さんである。現場で血の付いたナタが見つかっており、これが凶器とみられる。

 飯干さん一家は3世帯6人で暮らしていたが、事件現場に次男の昌大さんの姿だけなかった。その後、現場から2キロほど離れた橋の下から発見された遺体が次男と確認され、「昌大さんが橋の上から飛ぶのを見た」という目撃証言もあった。そのため、次男が両親と妻子、さらに松岡さんを殺害し、飛び降り自殺した可能性が高い。したがって、この事件は典型的な家族大量殺人である。

 なぜ、このような悲惨な家族大量殺人が起こったのか? 被害者も容疑者も全員死亡しているので、状況証拠や周囲の証言などにもとづき、過去の犯罪事例を参照しながら精神科医としての臨床経験から推測するしかないのだが、謎を可能な範囲内で解き明かしたい。

家族大量殺人は「破滅的な喪失」によって引き起こされる


 大量殺人というと、大阪教育大池田小事件や秋葉原無差別殺傷事件など、運悪くその場に居合わせた見ず知らずの人々を無差別に襲う無差別大量殺人を思い浮かべる方が多いかもしれない。

 しかし、欧米での調査研究によれば、むしろ家族大量殺人のほうが多い。たとえば、アメリカの犯罪心理学者、レヴィンとフォックスは、FBIの犯罪記録にもとづき、4人以上を同時に殺害した329例の大量殺人について詳細な分析を行ったのだが、そのうち40%近くを家族大量殺人が占めていた。それに対して、見知らぬ人を攻撃する大量殺人は約20%にすぎなかった。ちなみに、最も多いのは知人への攻撃で、40%強を占めていた。

 家族大量殺人は、しばしば「破滅的な喪失」と犯人が受け止めるような出来事がきっかけになって引き起こされる。平たくいえば、犯人が「もうダメだ。自分の人生はもう終わりだ」と絶望するような出来事がきっかけになる。

 それでは、今回の事件で次男は何を「破滅的な喪失」と受け止めたのか? 次男は女性関係をめぐって妻と夫婦げんかが絶えず、これまでも松岡さんが何度も仲裁に入っていたと報じられている。11月25日の夜も、電話で呼ばれた松岡さんが、次男の夫婦げんかの仲裁に向かったという。

 こうした一連の報道から、自分の不倫を妻から激しく責められ、逆上した次男が妻をナタで襲おうとしたところ、それを止めに入った松岡さんにナタが刺さった可能性が考えられる。その結果、次男は自分自身が殺人犯になってしまったことを「破滅的な喪失」と受け止めたのではないか。

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