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慈恵医科大学が不正入試問題に関して、不可解な告知を掲載…「虚偽の説明、背後に深い闇」との声が

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東京・西新橋にある慈恵会医科大学附属病院

 インフルエンザが猛威を振るう中、今年も2月に入り本格的に大学入試シーズンに突入した。今年はとりわけ難関の医学部受験生の胸中は複雑に違いない。昨年、東京医科大学の不正入試に端を発し、多くの大学の医学部受験で男女差や浪人回数などによる入試差別が明らかになったからだ。
 
 これを重く見た文部科学省は、全国81の国公私立の医大、医学部に対して「医学部医学科の入学者選抜における公正確保等に係る緊急調査」を実施し、昨年12月14日にその最終まとめを公表した。その結果、東京医大、昭和大、神戸大、岩手医大、金沢医大、福岡大、順天堂大、北里大、日本大の9大学を「不適切な事案」、聖マリアンナ医大を「不適切である可能性が高い事案」だと名指しで指摘した。

 しかし、そのほかにも「疑惑を招きかねない事例」として、面接試験の評価欄に「保護者が同窓生」とのコメントがあったり、同窓会や大学幹部が同窓生子弟の推薦リストを作成して入試委員長に渡したりといった事例など、該当する大学が10校以上あったとしながら、最終まとめで大学名を公表しなかった。こんな玉虫色の対応で、今年の医大入試は公正に行われると言えるのか。

「そんなことはないでしょうね。今年の入試も変わらないと思いますよ。文科省の調査結果だって氷山の一角ですからね。発表された10大学だけがやったとは誰も思っていないでしょう。国立大学で男女比率が偏ってるところも放ったらかしですからね。同窓生子弟を優先的に入学させるのなんて、私立医大ならどこでもやっているとみんなが思っているはずです」と語るのは、東大医学部出身の血液・腫瘍内科医であり、特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」理事長でもある上昌広氏だ。。

 名前の明かされた9大学はいずれも、HP上で指摘を受けたことを公表した上で、不正についても認めて救済措置を講じるとしているが、聖マリアンナ医大だけは指摘を受けたことは公表しながら、不適切入試があったことについては断固として否定している。

差別していない大学は私立医大ではあり得ない

 そんななか、いささか奇異な対応を取った私立医大があった。慶応大、日本医大と並ぶ私立医大御三家といわれる東京慈恵会医科大学である。文科省が最終まとめを公表してから1週間後の12月21日、大学のHPに次のような告知を掲載したのだ。少し長いが引用する。

「2018年12月14日付で文部科学省から公表された『医学部医学科の入学者選抜における公正確保等に係る緊急調査 最終まとめ』を受け、本学の入学者選抜について以下のとおり報告します。本学医学部医学科の一般選抜試験におきまして、『不適切な事案』『不適切である可能性の高い事案』は指摘されておりません。また、本学は性別や年齢(現役・浪人)等の属性による差異を設け得点調整を行うことや特定の受験生を優先させて合格させることも行っておりません。今後も、本学では入学者受け入れ方針(アドミッション・ポリシー)に基づき、公正かつ妥当な方法により適切な体制を整えて入学者選抜を実施してまいります」

 これに対し、ある慈恵医科大関係者は次のように語る。

「差別していない大学は私立医大ではあり得ないと思います。なぜかというと、優先事項であるOBの子弟を入れる必要性が出たとき、どこかで人数調整をしないといけないからです。その調整基準に男女差を使うか、浪人回数を使うかどうかだけの問題です。慈恵の場合は、一応、OBの子弟であっても一次試験は実力で合格しなければいけない。でも、二次試験の面接とかでジャンプアップさせるのは可能です。うちはやってないと言いますが、うちに限らず、ほとんどの私立医大でやっています。そもそも、何もやっていないのなら堂々としていればいいのに、なんで取って付けたように釈明文をHPに掲載したのか。それも、文科省が公表した調査結果を錦の御旗にして『入試不正はない』と公表するのは、実態を知るものから言わせてもらえば、完全に世間を欺く行為です。昨年12月2日付のサンデー毎日に『名門慈恵医大病院に何が起きているのか』という、内部腐敗を告発する記事が掲載されたのですが、これに対して執行部は完全無視でしたからね。都合のいいことだけ積極的に公表して、都合の悪いことはいっさい無視する。今の慈恵医大の“深い闇”が垣間見られます」

 ちなみに、私立医大御三家の慶応大、日本医大は慈恵医大のような告知をHPで行っていない。そもそも、文科省から不正をしている学校として名指しされていないのなら、それが自然な対応というものだろう。この件に関し慈恵医大広報課に聞くと、文書でこんな回答が寄せられた。

「日本私立医科大学協会会長から『受験生が混乱しないように各大学のHPを使って、試験が適切に行われることを周知するように』との要請がありましたので、これを受けて本学もHPで情報発信したものです」

 確かに日本私立医科大学協会の寺野彰会長(獨協医科大学理事長)からそのようなメッセージがなされているが、要請は昨年11月20日付けでなされたもので、文科省の最終まとめを受け12月21日にHP上で告知するまで、慈恵医大は入試に関する情報発信をいっさい行っていない。しかも告知内容は、文科省に「不適切な事案」などとは指摘されなかったから、「公正」だと言ったにすぎない。対して、学校内部からは「世間を欺く行為」との声が出てきた。これではまるでやぶ蛇である。

 慈恵医科大学の募集定員は110名(うち5名は東京都地域枠)。第一次の筆記試験は2月5日に行われた。一次試験の合格発表は2月12日で、2月15、16、17日に二次の面接と小論文が行われ、注目の最終合格者は2月22日に発表される。慈恵医大関係者が語った“深い闇”が気になるが、それについては次回明らかにしたい。
(文=兜森衛)

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