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アイドルに頭を下げてでも…乃木坂・高山の小説が大ベストセラーに透ける出版不況のヤバさ

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『トラペジウム』(KADOKAWA/高山一実)

 今年2月、乃木坂46・高山一実の初小説『トラペジウム』(KADOKAWA)が累計発行部数20万部を突破した。昨年11月の出版以来重版を重ね、発売3カ月を待たずして大ヒットといえる売れ行きを記録している。

 元SKE48の松井玲奈は昨年10月発売の「小説すばる」(集英社)でデビュー小説を発表し、今年4月には自身初の短編小説集『カモフラージュ』(同)が出版されるなど、作家活動を本格化させている印象だ。

 出版は今や斜陽といわれる業界だが、なぜ今、小説を書くアイドルが増えているのだろうか。

出版不況の中でも特に深刻な「文芸」


「とにかく本が売れません。なかでも小説など文芸といわれるジャンルは特に売れ行きが悪く、村上春樹や東野圭吾のような“著者性”を持った作家がなかなか登場しないのが現状です」

 そう話すのは、大手出版社勤務の経歴を生かし、『習近平の大問題』(東洋経済新報社)などの出版プロデューサーとして活躍する亀谷敏朗さんだ。亀谷さんの言う“著者性”とは、「その作家が書いた」というだけで本を買う固定ファンが存在するほどのネームバリューや権威を指す。“ハルキスト”なる熱狂的ファンを生み出した村上春樹などは、著者性の高い作家の代表的存在といえるだろう。

 ビジネス書や実用書のように話題性が重要なジャンルとは違い、文芸では著者性が売り上げを左右するといっても過言ではない、と亀谷さんは言う。しかし、村上春樹のような「出せば売れる」作家の存在は極めて少なくなっている。そこで頼みの綱となるのが芸能人、そして人気のアイドルたちだ。

「もともと名が売れていて、しかも多くの固定ファンを持っているのですから、出版社が頭を下げてでも芸能人に文芸作品を書いてほしい、と願うのは当然でしょう」(亀谷さん)

“芸能人作家”というジャンルは、何も今に始まったわけではない。若い女性芸能人というくくりであれば、モデルの押切もえ、グラビアタレントの壇蜜などが作家デビューを果たしている。一方で、近年はテレビに出ていなくてもSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のフォロワー数が多ければ、十分に「著者性を持つ」と評価されるようになってきているという。

「SNSで人気のインフルエンサーの場合、フォロワーが拡散してくれるというメリットがあります。いわば無料のPR係をたくさん抱えているわけですから、その影響力は大きい。編集者は日々、血眼になってSNSでバズっている、またはバズリそうな人物を探しているそうです」(同)

出版業界の市場規模はピーク時の半分以下


 芸能人にしてもインフルエンサーにしても、とにかく影響力のある著名人に本を出してほしい、というのが出版社の願いのようだ。背景には、業界の厳しい懐事情があるという。

 出版科学研究所の調査によると、昨年1年間の紙の書籍と雑誌の推定販売金額は1兆2900億円台で14年連続の前年割れ。市場規模は1996年のピーク時の2兆6563億円の半分を下回るほど縮小している。このうち雑誌(漫画の単行本含む)の落ち込みはもっとも激しく、前年比約10%減。書籍は同約3%減で、12年連続の前年割れとなる。

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